それでも開業しますか?Opening of Business

開業すべきか勤務医になるべきか

ご自身の未来について、想いを巡らせている先生も多いかと思います。

時代の変化スピードがどんどん速くなる中で、
歯科医院開業のハードルも高くなってきているように思います。
かねてから言われてきた人口の減少が各地域で見られる中で、
歯科医院の数もゆるやかではありますが減少傾向の時代となってきました。
歯科医院数の減少、その理由として挙げられるのは主に以下の2点となります。

  1. 団塊世代歯科医師の引退と既存開業歯科医師の高齢化
  2. 歯科医師の削減対策による若手歯科医師数の不足

今まで歯科医院が飽和していると言われていましたが、そもそも決してそんなことはなく、
地域レベルでは不足している市町村もかなりあったように思います。
逆にこれからは、歯科医院不足により患者さまが通院に困る時代になるであろうと予測されます。

本来であれば、ここで開業すれば事業として成功しやすいと考えられると思うのですが、現実はそんなに甘くはありません。
理由としては主に以下のような事項が挙げられます。

  1. 不動産の価格高騰(特に建築単価の上昇)
  2. 物価の上昇(一般消耗品や電気代、ガソリン代等が軒並み上昇)
  3. 賃金の上昇(歯科衛生士だけではなくスタッフ全員の賃金が上昇)
  4. 保険点数の上昇が見込めない(コストパフォーマンスの乖離)

要は、開業する際にかかる費用が莫大になってきているということです。
10年前と比較すると、かかる費用はほぼ倍になってきていると言えるのではないでしょうか?
例として挙げてみます。

歯科開業費用の実際
  • 建築坪単価 10年前-60万/坪 現在-120万/坪
    ※木造か鉄骨かでも違いはありますが、概ね倍になっている
  • 初期導入器材 10年前-3,000万 現在-5,000~6,000万
    ※導入する機材にもよるが、高価な器材の導入が不可欠になってきている
  • スタッフ賃金 10年前-DH 180,000~ 現在~230,000~
    地域性はあれど、歯科業態だけではなく社会全体が賃金上昇傾向となっている

あくまで参考値として見て頂きたいのですが、実際にこれぐらいの大きな違いが出てきているのが現状です。
10年前は開業にかかる費用は1億と言われていました。
3~5年前には1.5億となり、今は2億みないと開業できない時代となりました。
※土地購入の開業ケースの場合

仮に自己資金を無しとして2億の融資を受けた場合の返済額は以下となります。

  • 期間:20年 金利 1.2%(元利均等として試算) 据置:12ヶ月として
  • 開業から12ヶ月 200,000円/月(利息のみの返済)
  • 13ヶ月目以降 981,426円/月(利息+元金)

毎月約1,000,000円の返済となります。
この返済がどのレベルになるのか逆算してイメージしてみましょう。

固定費から売上を見る
  • 人件費
    DH-4名 DA-1名 受付-1名 計6名雇用(成長期〜安定期に向けての人員構成)
    230,000*4+200,000*1+200,000*1=1,320,000円(額面)
    法定福利費(社会保険料)を加味すると、1,320,000*1.15=1,518,000円/月
  • 他経費
    人件費以外の経費全般 1,500,000円/月(平均定な支出額として)水道光熱費・消耗品費・図書研修費・広告宣伝費・諸会費・通信費等人件費以外に毎月かかる経費の合計額となります。
  • 専従者給与
    配偶者や15歳以上の親族への給与となります。
    一般的なケースとして 200,000円/月 としてみましょう。
  • 院長生活費
    個人事業で開業されると給与という形ではなく、残ったお金が院長の取り分という形になりますが、法人的な考えで院長の取り分は決めておいた方が賢明です。
    仮に 500,000円/月 としてみましょう。

上記1〜4を合算します。
1,518,000+1,500,000+200,000+500,000=3,718,000円/月
これが毎月必ず出ていく額となります。

これに融資返済の981,426円を合算すると、4,699,426円/月
※返済額のうち利息は営業外費用に属しますがここでは簡易的に合わせて考えます。
また、実際は利益から元金を返済しますが、ここではわかりやすくするために経費に合算して考えます。

売上がなくても必ず出ていくお金は、約470万であることがわかります。

歯科医院の変動費は何%か?

変動費とは、歯科材料費と外注技工料のことを言います。
自費率の割合や自費コンテンツの種類、
メンテ患者数の数や取得している施設基準による加算等による保険点数で差異はありますが、
保険90% 自費10%の一般的な歯科医院の変動費は、約21%となります。
(弊社顧客データ2022より)

必要売上額を算出すると、
470万÷1-0.21)=595万となります。

損益トントン(黒字で赤字でもない0値)で考えても、約6,000,000円の売上が必要ということになります。
年商ですと72,000,000円でトントンというイメージです。

簡素化してお話しているため、利益にかかる税金や賞与支給等は除外していますので、実際にはこの売上では足りません。
また、税金は超過累進課税で利益額により率が変わります。 賞与もいくら支給したいかにより積み上げが必要になります。
また、事業として継続していく以上、毎年の積み上げ(法人で言う利益剰余金)も必要です。

その辺りを考えると、毎月8,000,000円の売上で年商100,000,000円が妥当な目安と言えるかと思います。
以前は年商1億超えは夢の数字と言われていましたし、
実際に全国68,000件のうち1億の年商を上げているのは10%程度と言われています。
全国の平均値は4,500万前後です。

しかし、今から開業する先生は、逆に1億超えは必須条件となります。
運転資金の額にもよりますが、開業から4、5年を目安として
1億に乗っけていくことが事業継続の目安ということを強く意識して頂きたいと思います。

イメージとの乖離はないか

自身で1億売り上げるイメージが持てるか?
DHに任せえれば1億いくのか?
DHに任せるまでの治療スピードはあるのか?
1日16人、治療出来るのか?

イメージがわかない先生は、2億融資を受けての開業は再検討された方が良いかもしれません。

  • 若ければ勤務してスキルを磨く
  • 40を過ぎていれば、勤務医として全うする

無理な事業計画を立てての起業は非常に危険です。

それでも開業したいという強い意思をお持ちの場合は前に進んで欲しいと思います。
その際はご自身の歯科医師スキルを客観的に見て、足りない部分は補い、強みとなる部分はさらに強化する。
そういった意識で毎日を過ごして欲しいと思います。

また、スタッフ雇用が必須ですので、人としてもスタッフに信頼されるように磨き続けて欲しいと思います。
スタッフがいなければ事業として成り立ちませんし、
スタッフが居てこそ先生がやりたい治療や提供したい医療を患者さんに届けることができますので。

人間性、今までよりも重要な要素になってきますので、そこは強く意識して頂きたいと思います。

弊社では、先生がやりたい治療、医療提供で実際に採算が合うか?を重要視しております。
元金利息を返済し、スタッフに給与が支払え、一般企業レベルの福利厚生を実現し、
尚且つ経営者である院長やご家族に不足のないお金が残せるのか。

多角的な部分から検討共有することから、開業のお手伝いをさせて頂いております。
また開業後も永続性のある事業であり続けるために経営面全般でサポートをさせて頂きます。
強い覚悟をお持ちで開業まで進んでいきたい先生は、お気軽にご相談ください。

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