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2025.08.30コンサルティング

来院患者を分けて考える #イニシャルとランニングという考え方

今回は、イニシャルとランニングというテーマで書いていこうと思います。イニシャルとランニング?何のこと?と思った方もいらっしゃるかと思います。要は、患者さんを来院ステージにより分けて考えましょうということです。

ちょっと別業態をイメージしてみましょう。
例えば、Web会社にホームページを依頼した場合、料金の支払いは以下のようになります。

1、制作費(イニシャル)
2、維持管理費用(ランニング)

サイトの完成までにかかる費用が、初期費用(イニシャル)、サイト完成後の修正や検索対策・解析・SEO対策等にかかる費用が維持管理費用(ランニング)となります。こういった業種の場合、1つのお客様に対して2つの契約を交わしていることとなり、安定した経営がしやすいというメリットが生まれます。

他の業種はどうでしょうか?
◯飲食店:イニシャル+ランニング(新規顧客+リピーター)
◯美容院:イニシャル+ランニング(新規顧客+リピーター)
◯不動産仲介業:イニシャル(契約時の仲介手数料が主)
◯学習塾/ジム:イニシャル+ランニング(入会金+月謝/会費)
◯建築会社:イニシャル(建築費用のみ)
◯スーパー:イニシャル+ランニング(新規顧客+リピーター)

上記の中で、経営が安定しやすいのはどの業種でしょうか?
ほとんどの先生はイニシャル+ランニングと思われたのではないでしょうか?

では、歯科に置き換えてみましょう。
歯科でいうイニシャルとランニングは、「新規患者(イニシャル)」となります。ではランニングは何になるか?

そうです。メインテナンス患者となります。

イメージとしては、飲食業や美容院に非常に近いと思います。学習塾は、明確にイニシャルとランニングが存在しており、1契約で2つの費用を頂いていくことになります。前述したホームページ会社と同様です。逆に不動産仲介業や建築業は契約して完了したら、そのあとは0です。

つまり、いつまでも顧客を取り続けていかなければならない業種であるとも言えます。歯科医院も、飲食業や美容院と同様、基本的には、患者を取り続けていかなければならない業種なわけですが、診療の中で大きく色が変わることにより、イニシャルとランニングという分け方ができるわけです。

新規患者はイニシャルです。口コミやSNS,googleビジネスプロフィールやホームページ等を見て、数ある歯科医院の中から選択して来院されます。そしてカウンセリング・治療を継続していくわけですが、最初の1.2回が非常に重要で、この期間に満足度を上げることが出来ないと、次のステージである治療終了からメンテへの流入のステージには入っていきません。

メンテに入った患者は、ランニングという解釈になります。今で言うとサブスクという言い方がしっくりくるかもしれません。メンテは流入したら、継続的かつ半永久的に通って頂くことが大事なこととなります。Pの状態によりますが、例えば3か月に1回は必ずメインテナンスで来院いただくと言うのが、それにあたります。

治療を終えて、次のステージに移行する段階からランニングがスタートし、それが継続すれば、経営的な先読みが出来る状態となります。2.3回目で何かしらの原因で離脱した場合は、ランニング失敗(サブスク途中解約)となります。サブスクは、満足度が高くないと継続するものではないので、メンテでの離脱が多い場合は、医院の取り組みや技術、接遇/応対に問題があると考えなければなりません。

美容院は非常に近い業種です。口コミ・SNS・ホームぺージで、歯科医院よりも遥かに多くの店舗から選んで来店されます。※美容院は全国に約270,000件 / 歯科医院は全国に約68,000件

歯科医療よりも難しいのが、センスが合うか合わないかが初回で判明してしまうことです。何故ならば、見た目で良し悪しがわかってしまう、希望通り出来たのか、満足できない仕上がりだったのか、その場で判別できてしまう。なので、イニシャルからランニングに移行できるか否かは、1回で決まってしまうため、非常にシビアな業種と言えます。

ただ、初回の満足度が高ければ、長い期間ランニング客として留まってくれるのも大きな特徴となります。接遇・会話・希望・手技等に関して、全集中で対応してこそ、次回以降のサブスク客になることをわかっているわけです。

歯科医院は、美容院に比べれば技術の良し悪しはわかりづらい業種です。ただ、適当な治療では患者さんは満足しませんし、応対/接遇も一定レベル以上になければ、絶対にリピーター(ランニング患者)にはなりません。また通いたいと思うことがランニング患者を増やす第一歩です。※そもそも医療なので、適当な治療をしている段階でアウト!なわけで、常に技術の向上を意識していくことが大前提となります。

自費を軸にしている歯科医院は、ランニングがなくても大丈夫なケースもあるかもしれません。しかしそれは、本当にごく一部の医院に限られます。自費のコンテンツを持ちながらも保険ベースで診療を行っている医院は、ランニング(メンテ患者)の増加が経営直結の課題となります。新患(イニシャル)がいくら毎月安定してきても、ランニング(メンテ患者)が増加しなければ、いつまでもイニシャル(新患)を取得し続けなければなりません。

医療なので、患者により差をつけるのはNGですが、意識として、イニシャル(新患)に特に比重をかけてファン化を図り、ランニング(メンテ患者)に送り込み、ランニングに入ったら、継続的/永続的に来院して頂く。いわゆるサブスク患者として受け入れる、そういう意識が必要です。

適切な歯科医療を提供することが大前提としてありますが、医院の意識として、イニシャルとランニングを分けて考えること。それだけでも、今足りないこと・改善が必要なこと・やるべきことが見えてきます。また、それを実現するためには根拠となる詳細な数値取りも必須事項となりますのでしっかりと行うことです。

医院の収益の内容を、しっかりと分けて把握していくために取り組んでみては如何でしょうか。



「たかが数値。されど数値。」

医院の今から未来をつくる。
歯科医院発展応援団 吉澤 貢

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