コラムColumn

2025.09.30コンサルティング

診療終了時間の前倒し #時代に即した改変がもたらすもの

今回は診療終了時間の前倒しについて書いていきたいと思います。時代の変化に伴い改変していくべき、重要テーマとして取り上げてみたいと思いますので、是非最後までご覧ください。

診療終了時間の前倒しとはどういうことか?
シンプルに、1日の診療時間の終わりを早めましょう!ということになります。10年前は20:00まで診療や22:00まで診療というクリニックが一定数存在してました。それが5年前には19:00には終了、3年前には18:00に終了、近々では17:30に終了という流れになってきているのは、みなさんもご承知のこととも思います。

では何故こういった流れになってきているのか?

答えは明白で、時代の急激な変化により変わってきたということになるかと思います。
では、急激な変化とは何か?それは働き方の部分で、この数年大きく変化してきていることが挙げられます。コロナ禍を経て大きく変わってきたというのが肌感ですが、今までにないスピードで、“働く”という部分で、変化が起きている。それが今ということになります。

歯科医院だけではなく、様々な業界で営業時間の終了が早まってきています。コロナ禍でそれが加速され、一時的なものから恒久的なものとなった業界もあるかと思います。歯科医院も漏れることなく、その波の流れに乗っている。乗っていかなければならない状況です。

では、何故そうしなければならないのか?

答えは明白。労働力確保のためです。歯科医院は労働集約型の事業です。人が居なければ事業として成り立ちません。歯科医師・歯科衛生士・受付・歯科助手・歯科技工士・etc...  様々な職種の集合体で歯科医療を提供することで事業として成り立っています。人が集まらなければ、いくら患者さんが集まっても事業として成立しないわけです。

働く側に立って考えてみましょう。
「先生のクリニックはスタッフに選ばれる医院でしょうか?」
選ばれるということには様々な要素がありますが、診療終了時間というのは、今の働き手からすると、かなり大きい選定要素となっていることをご存知でしょうか?

新しく入職してきたスタッフに聞くと、以下の要素が医院選びの軸となっています。
1、診療時間(何時に終わるか/帰れるか)
2、休日(週休2日制か)
3、福利厚生(産休・育休などの有無はどうか)
4、有給休暇(完全消化可能か)
5、スキルアップできる環境か(一部のスタッフ)
6、給与は他よりも高いか(昇給はどうか)

経営者側からすると、そんなことで職場を決めないで、自分のレベルアップに繋がるような医院を選んで欲しい!と思うかもしれません。勿論そこを第一に選ぶスタッフはいらっしゃるのですが、圧倒的に少数派と言えるのではないでしょうか。

まずは、早く帰れるか!ここが、今選ばれる医院像のトップ3に入ってきていると感じます。一生懸命仕事をして、OFFタイムは二の次という時代は、遙か昔の話であると認識する必要があります。今の若い世代の先生方はこの感覚はご自身も持ってらっしゃるケースが多いので、違和感がないかと思いますが、50歳以上の先生は、もしかすれば理解に苦しむ...というこもあるかもしれません。 

ただ、これが医院選びの現実であるということを忘れてはいけません。そもそもその選び方をするスタッフを責めてもいけません。何故ならば、それが当たり前だからです。昔はサービス残業ありき!の歯科業界でした。今では、ちゃんと残業手当をつけなければなりません。そもそもが昔からつけなければならないのですが、グレーのまま根付いた悪しき慣習と言えます。

時代はこの数年で大きく変わり、これからも更に加速して変化していくことと推測されます。時代の流れに合わせて自院も変わっていく必要があり、その中で大きな変化事項となるのが、診療終了時間の前倒しとなるわけです。

では、前倒しによるメリットとデメリットを考えてみたいと思います。

◯メリット
スタッフ雇用がしやすくなる
優良患者の流入が期待できる
ワークライフバランスの適正化によりメリハリがつく

◯デメリット
夕方の患者さんが取れなくなる

上記のような感じでしょうか。
デメリットの夕方患者については、心苦しい部分はあるかと思います。真面目に通ってくれている夕方患者さんを多くお持ちの医院は、土曜診療に振り分ける等の補助策が必要かもしれません。
メリットに3点ほど掲載しましたが、「スタッフ雇用がしやすくなる」。これが最大のメリットとなります。

先述した通り、歯科医療従事者が職場を選ぶポイントの上位に診療終わり時間(退勤時間)があります。労働集約型事業である歯科医院は、“人”が揃わなければ医療提供は成り立ちません。患者のために、というのは非常に素晴らしいことです。そのために日夕方患者さんにも対応し、遅くまで診療を行なっている医院様も多いと思います。ただ、その患者さんのために事業を続けるためにはどうするべきか? そこが今回お伝えしたいこととなります。

スタッフが揃ってこそ、真っ当な歯科医療提供ができます。スタッフが揃わないと、本来行いたい医療提供は難しくなります。列を減らして診療することで、治療患者さん側の通院スパンは長くなります。メンテも歯科衛生士が不足することで積み上がりに対応できない状況となったり、処置時間の短縮によるクオリティの低下や満足度の低下という支障が起こる可能性が高まります。

結果的に、医院評価は下がり、事業としても成り立たなくなる可能性があるわけです。永続的に事業を継続していくためには、設備投資も必要です。その設備投資すらできない状況になったらどうでしょうか? 先進器材の導入ができず、他医院との差は広がる一方です。勿論、先進器材が入っているから良いということではありませんが、例えばユニット、機械室、X線あたりは10年レベルで入れ替えが必要となります。その投資が普通にできる状況を作る必要があるということです。

スタッフがいてこそ。
この言葉が理解できている先生は、診療終了時間の前倒しをすでに実行されています。
まだ、理解できない... わかっているけど決断できない... という先生は、自院のスタッフ定着を見てみてください。離職率が少なくスタッフも余りあり雇用出来ているいるということであれば、対応はまだ先でもいいでしょう。逆にスタッフが入ってこない、ギリギリの戦力という場合は、診療時間の改変が急務かもしれません。

考え方として重要なのは、「患者の前に、スタッフ」です。
スタッフをしっかりと満足させてあげることが、歯科医療の永続的提供を可能にします。

早く帰りたい! そんなスタッフは優秀じゃないのか?
決してそんなことはありません。その逆かもしれませんね。
スタッフ雇用でお悩みの先生は、時代の変化をしっかりと受け止め、自院が今どうすべきか、考えてみるのも宜しいのではないでしょうか?



「たかが数値。されど数値。」

医院の今から未来をつくる。
歯科医院発展応援団 吉澤 貢

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