コラムColumn

2023.03.31スタッフマネジメント

改善点の取り組み #本質を伝えてますか?

今回は改善点の取り組みについて書いていきたいと思います。

Q,数値的に見て改善点があった場合、どのように“改善の旨”をスタッフさんに伝えてますか?


1、数値が悪かったから、そのために改善が必要と伝えている
2、数値が悪かったから、直さないといけないと伝えている
3、数値が悪かったから、これを直さないと経営的に良くないと伝えている


如何でしょうか?
どれが当てはまりましたでしょうか?

上記1〜3のいずれかに当てはまった場合は、

改善は難しい。

というのが正解(よくあるケース)となります。

何故か?

それは...

改善点のみを伝えられて、スタッフさんが改善の本質を理解出来ないのと、具体的な改善策、改善後のイメージを共有出来ないからです。

経営面の観点で見ると改善が必要な数値であっても、現場で患者さまを相手にしているスタッフさんからすると、

何が悪いの?
それが悪いとどうなるの?
具体的に何をどう改善するの?
直したらなにか他の項目が良くなるの?


といった疑問が浮かんできて、本質的な部分が腹に落ちないからです。

例を挙げてみましょう。

キャンセル率改善

院長:最近キャンセル率が高いから改善したいと思います。受付は予約の管理を徹底してください。
受付スタッフ(心の中):いつもそこはかなり意識してやってますけど(怒)
診療スタッフ(心の中):私たちは関係ないね(ラッキー)

院長:このままだと医院的に良くないから今年はこれテーマね!
スタッフ全員(心の中):何が良くないんだろう...? お金儲け? 
受付スタッフ(心の中):具体的に何をどう改善すればいいの!?
診療スタッフ(心の中):受付がちゃんとやってくれればいいだけね(ラッキー)

院長:3ヶ月後にどれぐらい改善したか確認するから、みんな頼むね!

スタッフ全員(心の中):・・・

どうでしょうか?これで改善すると思いますか?
受付や診療スタッフが先読みできれば、多少の改善はあるかもしれません。
ですが、ほとんどのケースでこの取り組みは失敗となるでしょう。

理由は簡単です。
なんのためにやるのか、どうやるのかが理解出来てないからです。

これはスタッフさんが悪いのではなく、伝える側に問題があります。
1、改善したい理由
2、改善するための策
3、改善後のイメージ


上記を伝えないと、スタッフさんの腹には落ちないということです。
「俺の考えをわかってくれよ〜!」ではダメなわけなんです。
人の頭の中を完全にコピペするのは、かなり難しいことなので..

では、どうすればいいか!

上記1.2.3について、スタッフさんに対してしっかりと説明を行うことです。

1、改善したい理由
空き枠が出ることにより、経営面上マイナスになる旨を伝える(具体的に)
真面目に通ってくれている患者さまの予約を極力入れてあげたい
急患での補充は可能だが、日々の診療動線が煩雑になる

2、改善するための策
前日に確実にリマインドを行う
キャンセルが続くと治療の進捗が遅れ口腔内の改善速度が落ちる旨伝える
あやふやな状態での仮予約をやめる

3、改善後のイメージ
予定通りに診療動線が進むため、動きに負荷がかかりづらい
経営面でのマイナスが改善され、スタッフへ還元が可能になる
急患を受け入れることを最低限にすることで診療終わりの時間を守れる

上記は、ほんの一例です。
詳細に説明することで初めて、なんのために改善が必要かを理解することが出来ます。
また、改善した後のイメージを共有することで改善の速度があがります。

患者さまへの説明と一緒で、伝わったかが大事なわけですね!
また、何かを改善するときには必ずどこかの部分で歪みが生じます。
それは前もってスタッフさんに説明しておくことで、解決できるでしょう。

自費率向上

院長:今年は自費率を5~10%上げたいから、みんな頼むね!
スタッフ:自費率?なんであげるのですか?

院長:自費率はある程度持ってないと経営上良くないからね。
スタッフ:なんで良くないんですか?

院長:うちは他の医院より売上は高いけど自費率は低めなんだよ!
スタッフ:売上が高いなら経営上良いのでは???

院長:まあ、とにかくみんな自費の勉強して、患者さまにちゃんと説明するように!
スタッフ:は!?意味わかんないですけど...???

どうでしょうか?
これでは絶対に自費率は伸びないですよね?苦笑
良く見かける“スタッフ丸投げ大作戦”です。。

丸投げにも色々ありますが、言うならば、本のタイトルだけ院長が作ってストーリーは全部君たちで考えて!
という、一番やってはいけないやり方です。

まず引っかかるのが、自費率を上げてね!の中身ですよね?
人数を増やした上で上げたいのか、人数は減少してもいいので売上の高い自費を増やしたいのか。
経営の観点でいうと売上となるので、この院長は、人数は考えてないのかもしれませんが...

そもそも自院には、自費のコンテンツはどんなものがあって、何を軸として上げていきたいのかが完全に抜けてしまっています。まずはそこを考えないといけないですよね。

例えば、ホワイトニング
「今年はホワイトニングを頑張って自費率を上げよう!」
とはいうものの、ホワイトニングのみでは難しいのではないでしょうか?
ホームホワイトニングならまだ解りますが、これが仮にオフィスホワイトニングだとしたら?

チェアが占領された上に、チェア稼働時間から見たコスパは圧倒的に下がります。
ということは、チェアが潤沢にない場合は、自費は増えるが保険は下がる。
自費率は上がるが、診療収入は下がるということになります。

「自費率は目標達成したけど、総売上が落ちたから今年は賞与は無しね!」
では、スタッフさんは全員辞めますね(苦笑)

例えば、審美補綴
「フルジルコニア・オールセラミックス・ハイブリッドセラミックス!補綴で自費を上げよう!」
「松竹梅の竹が一番出るから、患者さまにはオールセラミックスを上手くご提案するようにしてね!」
自身満々に心理学的なお話をするのは良いのですが...

松竹梅...

これでは一時的に増加しても継続は難しいですよね?
患者さまの口腔内に合った審美補綴をご提案することが医療の原点ではないでしょうか?
無理矢理感で承諾した患者さんはマイナスの感情になるわけなので、ファン化はしません。

口腔内の状態により、適切なマテリアルをご提案するのが望ましいのは言うまでもありません。
医院主導で粗利が高いものをご提案するのは悪ではないかもしれませんが、一人ひとりに合ったものをメリットデメリットを含めてしっかり説明した上での自費契約締結であるべきだと思います。

また、スタッフさんの中にはメンタルブロックがかかっていて自費に嫌悪感を抱いている方もいらっしゃいます。
その場合は、そこをスルーして「いいからやって!」と言っても何の解決にもなりません。
まずはスタッフさんのメンタルブロックを取り除く作業から始めることです。

患者さまにとって適切な治療を行うための選択肢として自費治療があります。
保険は患者さまの負担金が少なく済みます。自費治療は全額負担なので負担は増加します。
ですが、最良と思われるものが自費治療の場合は、それをしっかりとお伝えしご提案すべきです。

“保険=安い、自費=高い”

これは議題の本質ではありません。
医院として患者さまに寄り添った治療をご提供する。
そういう想いを持てるクリニックが自費率が高い。と言える部分もあると思います。

何か取り組みをするときに、医院によって時間的に大きな差が出る。
または、効果に差が出る場合は、基本的な部分である“本質”を落とし込めていないケースが多いように思います。

何故やるのか?
何のためにやるのか?
そのために何をどうするのか?


簡単なことです。
チーム全員が腹に落ちれば、あっという間に取り組みによる改善が出来るはずです。
もし、思ったような効果が得られていないと言う場合は、“本質”の伝達ができていない可能性があります。

今一度、自院の取り組みの速度や効果・結果を振り返ってみてはいかがでしょうか?



「たかが数値。されど数値。」

医院の今から未来をつくる。
歯科医院発展応援団 吉澤 貢

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