コラムColumn

2024.01.31コンサルティング

売上をあげたい Vol.2 #細分化した数値の把握出来ていますか?

今回は、前回のコラムである「売上を上げたい!」の続編的な形で書かせて頂きます。
売上を上げたい! 
成長期の歯科医院や低迷している歯科医院であれば、まず第一に思うことではないでしょうか?
ではその時に、何を根拠に、どうやって売上を上げていこうと考えますか?

売上を上げる策としてまず真っ先に考えられるのが、患者数の増加です。
過去のコラムでも書いてますが、歯科医院の売上は患者数×単価が基本となります。
患者数が増加すれば、自ずと売上が上がるわけなので真っ当な考えではあります。

他にはどうでしょうか?
○自費をもっと伸ばしたい →単価UP
○訪問診療を強化したい →外来外売上UP
○物販処方を増やしたい →自費売上UP


大体、このような考えになるのではないでしょうか?

1、自費をもっと伸ばしたい
インプラントや矯正治療等、比較的高単価な武器を持っている医院であれば、戦略(啓蒙やマーケティング)をうまく組めば増加は難しくはありません。逆に補綴やホワイトニング等の武器しかない医院は、数を相当こなさなければ、飛躍的な売上UPにはなりません。

この時に、チェアの空き状態やカウンセリング能力、スタッフの知識や意識、手技等、トータルで考えることが重要です。ただ、増やそうとしても医院側の能力が欠落していていれば、一時的なものにしかならないと同時に、クレーム等でマイナスの流れを生む結果になってしますこともあります。

また、現在の日本経済の状況を考えると、自費で売上を上げ続ける戦略は非常に厳しいことだと感じます。
ずば抜けたテクニカルやスキームがあり、評判も良く近隣に敵なしの状態であれば成り立つこともあると思いますが、そうでない場合、また患者さんの心理的には、先行き不安な世の中で自費診療への抑制が見えてきています。
唯一、お子さまの矯正治療(特に筋機能系)は親御さんが無理してでもお金を捻出しているように感じます。

2、訪問診療を強化したい
すでに訪問診療を行なっている場合は、件数の増加により売上増は可能となります。
また、居宅オンリー・施設オンリーから、両方にアプローチをかけることで大幅に増加させることも理論上は可能となります。

逆にこれから新たに始めたいというケースでは、結果が現れるまでにはある程度の時間を要します。
まずは訪問診療の本質を学ぶこと、そして器材の準備、ケアマネさんとの接点構築等、スタートする前にやるべきとが多くあります。同時に訪問診療は外来診療とはかけ離れた環境で診療を行うことになるので、決して簡単に稼げるというものではありません。覚悟を持って臨むべきコンテンツと言えると思います。

3、物販処方を増やしたい
これに関しては、様々な見方や意見があるかと思います。
物販売上で月○○円UP!というような触れ込みを見ることもありますが、個人的にはしっくりこないのが本音です。物販処方の本質は、通って頂いてる患者さんのホームケアのサポートだと思います。それを患者さんと共有し信頼関係を構築することで、定着患者となり、医院経営の観点でプラスになるものです。

売上増加のコンテンツとして見るべき見るべきものではないというのが弊社の考え方となりますが、ここに関しては考え方の相違があるので、各医院さんごとの判断で宜しいかもしれません。


歯科医院の売上構成を細分化すると、以下のようになります。

1、保険診療(外来)
2、保険診療(訪問診療)
3、自由診療

4、物販処方
5、雑収入


5、の雑収入に関しては、損益計算書の医業利益の下に位置するものであり、売上目標の中に入れるべきものではないので除外して考えます。また、4の物販処方については自由診療のカテゴリーに属するものとなりますが、大枠の目標に組み込むものではないとして除外して考えます。

そうなると、上記1〜3となるわけですが、方向性を定めるにあたり、様々な要素が絡んでくることを意識して欲しいと思います。自費が少ないから自費を伸ばそう!ではないわけです。

上記1・2に特化して考えてみたいと思います。

1、保険診療(外来)を伸ばして売上を上げたい

このケースでは、前提条件として、現状のユニット稼働(回転率)がどのレベルにあるかがポイントとなります。また、稼働日数も関連してきます。例えば、ユニットチェア4台で現在40人診ていれば、ユニット回転率は10回転となります。この状態が医院としてMAX値なのか余力ありなのか?

アポ枠を短縮してもクオリティを担保していけるということであれば、1回転増やしてもいいでしょう。
1回転×4台×20日=80人 80人×850点=68,000点 月680,000円増加 年間 8,160,000円増加
となります。

これが、説明や啓蒙を考慮すると10回転が限界値という場合は、保険診療(外来)を伸ばすためには、稼働日数を増加させるしかありません。例えば、現在20日稼働を21日にする。
1日×40人×12ヶ月=480人 480人×850点=382,500点 年間 3,825,000円増加

ただ、この稼働日数で増加させる策はスタッフの人数(余りあり雇用があるか)やモチベーションに大きく関わるので、得策とは言えないかもしれません。スタッフの同意を得て、それをカバーできる人員がいるケース前提え必要に迫られた場合のみ発動する策と言えるかもしれません。

上記の条件で考えると、
回転を1回転上げると年間約8,000,000円の上積みが可能。
稼働日数を1日増やすと、年間約4,000,000円の上積みが可能。

となります。

2、保健診療(往診)を伸ばして売上を上げたい
往診は、外来診療ではもう伸ばしようがないケースで検討に入る医院様が多いのではないかと思います。
ただ、先にも記載したとおり、簡単に売上につながるものではありません。
事前準備、訪問先の確保があって初めて、売上に繋がるものとなります。
また、アプローチをかけるのが居宅なのか施設なのか、両方なのか。
それによっても患者獲得のためのアプローチが変わってきます。

また、お昼休みに訪問にいくスタイルですと、売上は微増、スタッフは疲弊する可能性もあります。
訪問で売上を獲得しても外来で生産性低下により売上が落ちれば本末転倒となります。
休診日に往診を組めれば、そこは丸々プラスとなるので、スタッフが交代で出れる状態であればメリットはあると思います。安易に手をつけることは避け、訪問診療を学ぶことから始めることを大前提として、ある程度の時間をかけて取り組むべきか否かを検討されることをお勧めします。


ちょっと話はずれますが、点数算定が適正かどうかも気に掛かる部分だと思います。
訪問診療を行なっていないクリニックでは、外来のみなので1回単価がそのまま治療単価として把握することができますが、訪問診療を行なっているクリニックでは、分けて考えないとトンチンカンなことになります。

例として一つ挙げます。

診療1回あたり点数:1,170点
結構高い点数ですよね?

レセデータからここだけ切り取ってしまうと、間違いが起きます。
○患者負担が大きいから本来算定できるものも取らないようにしようか ...
○平均点も高くなりそうだから、少し算定を抑えようか。または、治療を細切りにしていこうか...


という考えが起きてくると思います。

では、レセデータを分解して実際のところを見るとどうなるか?
診療1回あたり点数:1,170点 は数値上変わりません。

外来と訪問を切り分けて考えます。
訪問診療のレセ枚数と売上を総売上から減算し、外来のみの数値を導き出すと、
外来診療の1回あたり点数:880点 となります。(弊社お客様の実数値より)

880点であれば、SPT等を加味すると適正な点数ではないでしょうか?

ということは、外来診療の算定は適正ということになり、改変は不要ということになりますね?
間違った見方で数値を見ると、誤った対策を組んでしまい、迷子になってしまうことがあることを意識して欲しいと思います。

医院の現在地(成長期なのか安定期なのか、はたまた衰退期停滞期なのか)をまず見極めて、自院の軸がどこにありそれがどのレベルにあるのかを見極め、マンパワーとスキルを見極め、財務諸表から固定費や利益、キャッシュフローを見極め、置かれているステージからどれぐらいの売上UPが必要か見極める。

その上で日々の動向数値を見て、可能か不可能か見極める。


一言で売上UP!というわけではないんですね。
様々な要素を様々な角度から見て、最も現在効果が高いと思われるところを強化していく。
そして、それを継続していくことが、先々に繋がっていくものだと思います。

今一度、自院の状況を大枠部分と精密な部分で見てみると見えてくるものがあると思います。
細分化した数値を把握してますか?



たかが数値。されど数値。」

医院の今から未来をつくる。
歯科医院発展応援団 吉澤 貢

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