新患受け入れをどうするか #成長期に起こるプラスの悩み

今回は新患の受け入れについて考えてみたいと思います。
順調に成長している医院にのみ起こる悩みの代表格の一つと言えるのが、「新患の受け入れ」ではないかと思います。順調に成長の定義としては、売上基準ではなく患者動向の観点からとなります。
順調に成長している医院の定義
1、新患流入が止まらない
2、治療終了まで継続して来院している患者さんがほとんど
3、治療終了の患者さんのメンテ流入率が高い
4、メンテ患者さんの定着率が高い
上に記載した4つ全てが該当する医院に起こる悩みが、新患の受け入れをどうするか!ということになります。
ある意味では、この悩みにぶち当たらない医院さんは、その前に改善すべき点が多くあるという認識になります。混んでいる医院特有の悩みというわけです。
順番に考えていきましょう。
1、新患流入が止まらない
これは、医院評価が高いと捉えることができます。
ネットやSNSの時代で、医院を知る術はいろんな方面からありますが、何よりも身近な方の生の声です。ご家族・友人・職場の仲間... 実際に通院してる人からの情報ほど強いものはありません。開院から何年経っても新患流入が止まらない医院は、全体的な評価が高いと言えます。
※リスティング広告やマーケティング強化により新患数を維持している医院は、一概に医院評価が高いとは言い切れません。そこを判断するためには、上記2〜4の状態を把握する必要があります。
2、治療終了まで継続して来院している患者さんがほとんど
これは、総合的満足度が高いと捉えることができます。治療スキル・説明・応対・アポイントスパン... 様々な項目が全て平均以上にあることで治療終了まで患者さんを導くことが可能になります。治療中の離脱が多い医院は、そのどこかが抜け落ちていると考えられます。早急に改善必要点を探して取り組むことをお勧めします。
3、治療終了の患者さんのメンテ流入率が高い
これは、治療期間の満足度と啓蒙力が高いと捉えることができます。
全顎的に治療を行う中で、適切な治療提供、説明、対応を行いつつ、複数回の通院で満足度が高い状態を維持。治療の後のメンテ(管理)により、全身健康までの繋がりを落とし込めている医院は流入が100%に近い数値となります。治療は上手いけどメンテ啓蒙が弱い... そういう残念は医院も多くあるかと思いますが、それは何よりも院長を初めとしてスタッフ全体が口腔管理について、まず自身で落とし込みをする必要があります。
4、メンテ患者さんの定着率が高い
これは、DHスキルが高いと捉えることができます。
何よりも難しいのが定着です。DH一人ひとりが高い意識と知識、興味、スキルを持ち合わせていないとなかなか実現することは難しいのが“定着”となります。1〜3までは完璧でも4で落としてしまう医院もあります。非常に勿体ないことです。医院経営の大軸となるメンテ定着。ここが伸びない医院は早期に取り組みを行う必要性があります。伸びない理由がどこにあるのか?全体MTGで炙り出して改善していくことをお勧めします。
1〜4について書きましたが、今回のお題は上記を全てクリアーしている医院さんにのみ起こる悩みとなります。
医院のステージや状況により、新患受け入れに対して行うアクションは違ってきます。今回は例として、成長期にありつつ当面拡大ができない(増築や増設ができない)医院さんのケースで考えてみたいと思います。
例)ユニット回転率は限界値 / 増築増設は当面無難しい/ 上記1〜4はクリアーしている医院
【新患を入れる枠が取れない...】
◯治療終了患者との対比で考える
一番わかりやすいのは、治療終了患者が月に何人いるか。
その数に新患受け入れの数を合わせることで、メンテ流入や定着が減少した差異のリスクヘッジをすること。そのためには、現在の治療の流れの改善を行う必要があります。処置ごとの枠の改変・アポの取り方の改善など、虫眼鏡で見ていけば、改善すべき点は見つかるものです。
15人いれば、新患受け入れを15人に設定して枠を確保する。
※長い目で見れば、メンテ流入して定着していくと、受け入れはまた難しいとなることも多々あります。
その時は、また次の策(増設や増築 / 受け入れる新患の絞り込み 等)を考えていくことが重要です。
成長期から安定期にあり、新患数が50人以上ある医院が、新患数を15人にするのは勇気がいることではあります。ただ、やみくもに取り続けて満足度を落としてしまっては本末転倒です。1〜4をクリアーしている医院は評価が非常に高い医院となるので、待ってでも行きたい!という患者さんは多くいらっしゃるはずです。焦らずに今来院している患者さんの満足度を保つことに注力し、一方ではリスクヘッジをする。
それにより、医院経営は安定を維持し、次のステージ進むことができるのだと思います。
上記、例として挙げましたが、やるべきポイントは医院様ごとにの動向数値ごとに、様々です。 患者動向に関わる数値を把握していないと策は組めないことも多いと思います。日頃から患者動向を数値化して、今医院としてできることは何か? 根拠に基づいた戦術はなにか? を考えていく必要があります。
ただなんとなくで感覚的に施策を打つのではなく、数値根拠に基づいて、また、現在の医院ステージと未来像を意識して、新患受け入れの悩みに対応をしてみてはいかがでしょうか?そうすることで、適正な受け入れ人数が見えてくるはずです。
「たかが数値。されど数値。」
医院の今から未来をつくる。
歯科医院発展応援団 吉澤 貢